鎌倉国宝館『北条氏展』vol.3-2 に行きました
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を視聴中のmezzoです。
ドラマを契機にもっと鎌倉時代の背景を知りたい、と思い立ち、鎌倉市内の博物館の関連展示を見ています。
その第2弾、鎌倉国宝館『北条氏展』に行って来ました!
『鎌倉殿の13人』に合わせて鎌倉歴史文化交流館とペア展示
あれ、この間も『北条氏展』という展示を見に行ったと聞いたよ。
同名の展示なの?
▶️過去記事をチェックしてくれてありがとう。
実は『北条氏展』は、鎌倉国宝館のほか、鎌倉歴史文化交流館の2ヶ所で同時開催の企画(ペア展示)となっています!
さらに鶴岡八幡宮の境内では大河ドラマ館も開館中です。
3者の位置関係、以下の地図をご覧ください(過去記事の再掲)
鎌倉歴史文化交流館と鎌倉国宝館(大河ドラマ館も近い)、いずれもJR鎌倉駅から徒歩圏内です。
時間にゆとりがあれば1日で見て回ることができます。
時間が限られていて「どちらか片方だけ」になっても、立ち寄りやすい立地です。
大河ドラマという共通テーマで、市内の各所で博物館展示が企画されるのは、粋な計らいですね。
博物館を回る移動時間でさえも、楽しくなります。
🔽 過去記事(鎌倉歴史文化交流館の来訪記)
鎌倉国宝館とは
公式サイトはこちら
鶴岡八幡宮境内に位置する歴史・美術の博物館です。
収集方針は以下の通り。
鎌倉市域、近隣の社寺に伝来する彫刻・絵画・工芸・書跡・古文書・考古資料などさまざまな文化財のうち、代表的な作品の多くが寄託され、保管・展示をしています。 (鎌倉市サイト 「鎌倉国宝館について」より)
関東大震災で鎌倉の文化財に被害が出たことがきっかけで設立された博物館です。
🔼外観はこんな感じ。
フロアの前半が常設展「鎌倉の仏像」で、同じチケットで『北条氏展』も見ることができます。
校倉造風の外観ですが古いコンクリート建築。
壁面を見ると、確かに校倉造代表、奈良の正倉院に似ているかも。
展示を見て
展示内容:鎌倉歴史文化館との比較 「実朝暗殺」と、「承久の乱」は共通テーマ
同じ『北条氏展』を開催中の鎌倉歴史文化交流館の展示内容と比較しながら見ていました。
展示のキーワードをmezzoのメモから書き出しておきます。
【展示キーワード】(mezzo作成) ・源実朝 ・実朝暗殺と戌神信仰 ・承久の乱 ・藤原頼経
▶️対象時期は両館で重なる部分が多いです。
両館ともvol.3の注目展示品は『承久記絵巻』。
また実朝暗殺の扱いも大きかったです。
鎌倉国宝館の方では北条義時が実朝殺害の際に難を逃れたのは、夢に戌神が現れて予告していたから、と『吾妻鏡』の記述に注目し、義時の信仰をテーマにしていました。
展示内容:鎌倉国宝館のカラーは、文化財展示の多さ
同じ『北条氏展』ですが、博物館ごとの違いを随所に見られる展示でした。
これ、同じテーマで縛りをかけるからこそ、館のカラーが浮き立ってなかなか面白かったです。
鎌倉国宝館のカラーは、「文化財展示が多い」こと。
絵画・彫刻の展示の多さが目を惹き、古文書の原本展示も豊富でした。
ただ展示物の説明がもう少し詳しいと助かるように感じました。
鎌倉国宝館は、少し知識のある方の方が楽しめるように見受けました。
(展示内容):鎌倉歴史文化交流館のカラーは、因果関係の解説の丁寧さ
鎌倉歴史文化交流館では文化財展示数は少ない印象でした。
『吾妻鏡』など史料の該当ページの展示と、パネル展示が目立っていました。
ただ、史料の解説・展示品同士の因果関係の説明が丁寧でした。
時系列順に並んでいることとと相まって、あまり知識がない状態で来館しても理解が深まりやすい構成になっています。
同じ『北条氏展』というテーマでも、博物館ごとに切り口が違うことを学ぶ格好のチャンス。
思いがけず巡り合いました。
気になる展示:藤原頼経の発給文書
mezzoが気になった展示内容を少しだけ紹介するコーナーです。
鎌倉国宝館にだけクローズアップされているテーマは「藤原頼経」になります。
第4代将軍藤原頼経、源実朝が暗殺され、源氏嫡流が断絶したのちに九条流藤原氏から幼年時に迎えています。
藤原頼経に関する一連の文書がまとめて展示されていました。
3点の文書の内訳は以下の通り。
・時期:嘉禄二年(1226) ・話題:摂津国野鞍荘地頭職の停止について ・文書名:普成仏院文書 ①藤原頼経下文 ②北条時房書状 ③北条時盛書状
①で将軍藤原頼経が、摂津国野鞍荘という荘園の地頭職の停止を指示します。
①の文書は「袖判下文」という形式で、文書の右端(袖)に花押だけを据えます。
藤原頼経がまだ幼く、政所を開く資格がなかったため「袖判下文」の形態を取った、と解説にありました。
①に対して地頭の北条時盛が承諾した文書が③。
珍しいのは②で、当時の連署だった北条時房が①の副状を書いています。
というのも地頭の北条時盛、実は時房の息子でした。
こうしたらわかりやすいのでは
藤原頼経の発給文書、彼がまだ幼く「政所」開設の資格がないことが文書形態に出ることが興味深いです。
せっかくの題材なので、比較のため「成人して政所を解説した将軍の発給文書を展示」するとテーマが引き立つと思います。
あと「文書のやりとりの関係を図示する」こと。基本的なルートを図することで、イレギュラーな存在である②(北条時房の書状)の意味が伝わりやすくなります。
まとめ
『北条氏展』は同じテーマ、同じ時期に近隣博物館でそれぞれ展示を行う試みでした。
ついつい教科書や展示を見るとその内容を全面的に受け入れがちですが、博物館ごとに、企画者ごとに違うアプローチがあるのが展示の醍醐味だと、気付かされました。
今後も同じような企画があれば、行ってみたいなあと思うところです。
都市部・観光地など博物館が集中している地域で、ぜひ企画してもらうことを願っています。
そして『北条氏展』、最後の展示替えでvol.4も予定されています。
mezzoもまた行かねばなりません💦
(追記)帰り道、北条泰時の邸宅跡に遭遇
鎌倉国宝館の帰り道、若宮大路の商業ビルで思いがけずに出会った史跡、「北条泰時邸跡」!??
ブログにまとめました🔽
(追記)vol.4に行きました
鎌倉国宝館の『北条氏展』vol.4にも行きました!
訪問記事はこちらになります。
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