鎌倉国宝館の『北条氏展』を見るため鶴岡八幡宮に出かけた、帰り道のこと。
ちょっと意外なところで「歴史」に出会った話を、ご紹介します。
北条泰時邸跡、見学できます…?
鶴岡八幡宮の三の鳥居を出て、若宮大路を向かって左側の歩道で鎌倉駅方面に少し進んだところに「それ」はありました。
位置関係、地図をご覧ください。
普通の商業ビルが並ぶ一角に、風変わりな看板が。。
なになに、「北条泰時邸跡、唯一無二、この奥」
❓❓❓ ❓❓❓ ❓❓❓
てっきり飲食店の看板かと思ったじゃん💦
すっかり街並みに馴染んでいたね。
思わず周りを見回したところ、商業ビルのテナント一覧の看板にはこんな表示が。
本当に商業ビルに馴染んでいますね。
「北条泰時邸」と書いてありましたが本物だったらすごい。
鎌倉幕府の第3代執権の、北条泰時、でしょう?
でも果たして本物なのでしょうか…。
ビルのお隣が、「クルミッ子」で有名なお菓子屋さん「鎌倉紅谷」さんだったこともあり、mezzoは半信半疑のまま「北条泰時邸」を見定めるべく、ビルの中に入ることにしました。
実際の遺跡はこんな感じ
1階の外通路を進み、突き当たりの扉から中に入ると、床の中央に強化ガラスが嵌め込まれています。
中を覗くと、確かに発掘された遺跡が見られます。
見えているものがそれぞれ何か、ガラス板に解説が書いてあります。
写真は撮りそびれましたが、壁にも、鎌倉時代についての簡単な解説がありました。
史跡データ
商業ビル、「M’s Ark KAMAKURA」のサイトによると、次のような説明がありました。
遺跡名 :北条小町邸跡 発掘調査実施時期:ビル建設の際 管理者 :そばと懐石料理 『鎌倉 峰本』
▶️つまりこの遺跡は、「私有地」にあるのですね。
外部サイトでの解説記事
外部サイトでは、「鎌倉の史跡と文化財 by鎌倉PRESS」さんの記事が詳細でためになります。
ブログでは「鎌倉歳時記」さんの記事(2020年9月15日)がありました。
大河ドラマを機に整備された史跡というわけではないようですが、「知る人ぞ知る」、という感じだったようですね。
調査系では、六一書房から『北条小町邸跡(泰時・時頼邸)発掘調査報告書』(2000年)があります。
木簡出土の記録もありました。
「神奈川・北条小町邸跡」というタイトルの記事あり。
おそらく『木簡研究』第23号収録「2000年出土の木簡」の記事かと。
まとめ 逆転の発想で「気軽に入れる史跡」
私有地の建設工事で文化財が出てくると、建築計画や保存の面からは頭が痛いところかと思います。
オーナーの『鎌倉 峰本』さんは逆転の発想で遺構を残し、一般の人に公開することにされました。
鶴岡八幡宮目の前、若宮大路の好立地も相まって「気軽に入れる史跡」になっていたと思います。
mezzoが行った時も、大学院生風の若いグループがガラス板を囲み、わいわいと議論をしていました。
実物を見ながら話ができるのも、「気軽に入れる史跡」の醍醐味ですね。
同ビルには有料トイレ・サムライグッズショップなど観光客向け施設も併設されており、商業効果を狙うこともできるようです。
鎌倉にお越しの際、ふらりと立ち寄ってみるのにおすすめです。
(追記)北条時房(トキューサ)邸跡も近くにあります
北条泰時の叔父の北条時房、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では愛嬌と政治的バランス感覚で鎌倉サバイバルを生き抜いた末っ子「トキューサ」の屋敷跡が、実はこのすぐ近くにありました。
若宮大路を渡って反対側と本当に近いので、同時に回るのもいいでしょう。
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