【博物館】『地下の正倉院展』奈良文化財研究所平城宮跡資料館_2022年度

博物館訪問記

『地下の正倉院展』に行きました

2022年の『正倉院展』を無事見終わった後、次の特別展をはしごで観てきました。

奈良文化財研究所(奈文研)平城宮跡資料館で開催中の『地下の正倉院展』です。

一日奈良に滞在する時間があれば、奈良博の『正倉院展』と奈文研の『地下の正倉院展』をどちらも回ることができます

本記事は今年2022年度の『地下の正倉院展』を実際に見てのレポート記事です。

『地下の正倉院展』では木簡の実物が見られる

メゾさん
メゾさん

『正倉院展』ではなく、『地下の正倉院展』か。

何か関係があるのかな?

▶️奈文研の『地下の正倉院展』の大きな特徴は、本物の木簡が見られるところです。

奈良文化財研究所は平城宮跡の発掘調査を行なっている研究機関です。

「木簡(もっかん)」は文字が書かれている木の板ですが、紙が貴重だった古代にはよく用いられていました。

平城京が現役だった奈良時代の生の情報を得ることのできる、超重要史料ということができます。

1961年に木簡第一号が出土してから60年、奈文研が発掘・保存する木簡の数は約30万点、調査の進展により現在も増え続けています。

『地下の正倉院展』に毎年行きたい理由

1300年前の木製遺物である木簡は、大変脆弱です。

博物館で展示されているものは複製がほとんどで、実物が展示されることは非常に稀です。

『地下の正倉院展』では奈文研管理の木簡の実物が展示されます。

実物の木簡に会える、またとない機会です。

mezzoが毎年『地下の正倉院展』に出向く理由は、奈良時代の木簡との一期一会の出会いを求めて、のことです。

なお会期中、2週間で展示替えがあります。

同一の木簡を2週間までしか展示できないルールがあるためです。

余裕のある方は、展示替えごとに足を運ぶのも良いかもしれません。

基本情報

『地下の正倉院展』会場、奈良文化財研究所 平城宮跡資料館

特別展名  :2022年度 秋期特別展 奈良文化財研究所70周年記念・平城宮跡史跡指定100周年記念 「地下の正倉院展 -平城木簡年代記〔クロニクル〕-」

会場    :奈良文化財研究所平城宮跡資料館 企画展示室(近鉄大和西大寺駅から徒歩15分ほど) 

会期    :令和4年10月15日(土)~11月13日(日) 月曜休館 
    ※展示替えあり 
    前期:10月15日(土)~10月30日(日) 
    後期:11月1日(火)~11月13日(日) 

時間    :9:00 ~ 16:30(入館は16:00まで)

入館料   : 無料!!   駐車場無料  常設展も観られます

撮影の可否 :撮影できます 

公式サイトはこちら

平城宮跡資料館へのアクセス

奈良博との位置関係は地図の通り。

奈良博の最寄駅の近鉄奈良駅から大和西大寺駅までは2駅なので、掛け持ちに便利です。

展示を見て

今年のテーマ

今年のテーマは、「平常木簡年代記 クロニクル」 。

1961年に平城宮跡で木簡第一号が出土してから60年間の歩みを、年代ごとに出土した代表的な木簡を軸に解説するという企画でした。

「1980年代の木簡はこちら!」という感じで紹介されると、平城宮跡のことと20世紀の研究史が同時に伝わります。

ちなみに「1980年代の木簡」といえば、奈良時代の大貴族の邸宅跡発見の手がかりとして有名な長屋王家木簡が代表選手となります。

特徴:乾燥した木簡と水漬け木簡

本物の木簡の展示ならではの特徴としては、「乾燥した木簡」と「水に浸された状態の木簡(水漬け木簡)」が見られることでしょう。

同じ木簡なのに、なぜ2種類の形態があるのでしょうか。

理由は、木簡の保存過程にあります。

出土した木簡はまず薬液に漬けられて、倉庫で保管されます(水漬け)。

調査研究が進み、特に貴重な木簡の一部には、真空凍結乾燥などの技術で水分を抜き、樹脂などに置き換える保存処理が施されます(乾燥した木簡)。

そのため、年代の新しい木簡は「水漬け」が多く、古い木簡ほど「乾燥した木簡」が多く展示されています。

『地下の正倉院展』を自宅で見る方法

展示リスト・図録

奈文研では毎年『地下の正倉院展』の展示リストをウェブ公開しています。

展示替えする全ての時期を資料をダウンロードしています。

また全ての木簡のカラー写真と楽しい解説を収録した図録も現地で販売しています。

1冊読み切れば木簡に詳しくなれるでしょう。

おわりに

『地下の正倉院展』は本物の木簡との一期一会の出会いが待っている特別展です。

来年も、どんな木簡に出会えるか楽しみにしています。

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